応用情報22年秋 午前 問17

【中分類】
システム構成要素−2. システムの評価指標−(2)システムの信頼性特性と評価

【問題を解く前に】

 シラバス内の、「(2)システムの信頼性特性と評価」内の、「信頼性指標と信頼性計算」の「並列システム,直列システムの稼働率の計算方法を理解する」に対応する問題です。

 ごめんなさい。テクニック的には、「具体的に考える」なのですが、具体的に考えても、これ、答えは出ないです。なぜかというと「常に」ということをたずねているからです。

 「常に」が成立するには、あらゆる無限の具体例を入れて解く・・・というのは、テスト時間内(=有限)では無理なので、具体的に解くのは無理です。
 ということで、数式を使って抽象的に解くことになります。
 そりゃ〜そうですよね。具体的に解けちゃったら、どう考えても基本情報とかITパスポートの問題になってしまいます。一応、応用情報ですから・・・

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 ここでのポイントは、「並列システム,直列システムの稼働率の計算方法」です。復習しておくと、

直列システムは、こんなふうに

次々とつながっていくかんじ。稼働率は、掛け合わせ

   Xの稼働率 ・ Yの稼働率

(この問題において、・は、掛け算を表します)


並列システムは、こんなふうに

並んでいるかんじ。稼働率のもとめかたは、ちょっとふくざつ。
まず、XもYも動いていないという状況をもとめます。

Xが動いていないのは1−X 
Yが動いていないのは1−Y
両方とも動いていないのは、(1−X)・(1−Y)

並列システムの稼働率
 =どちらか動いていればよい
 =1−両方とも動いていない
 =1−(1−X)・(1−Y)


【解き方】

Xの稼働率をx、
Yの稼働率をy、
Zの稼働率をzとします。

すると、Aの稼働率は、XとYの並列のあとに、Zの直列なので、

(1−(1−x)(1−y))・z

一方、Bの稼働率は、XとZの直列(x・z)とYの並列なので、

1−(1−x・z)・(1−y)

これを、計算します。

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Aの稼働率=(1−(1−x)(1−y))・z
     =(1−(1−x−y+xy))・z
     =(1−1+x+y−xy)・z
     =(x+y−xy)・z
     =xz+yz−xyz

Bの稼働率=1−(1−x・z)・(1−y)
     =1−(1−xz−y+xyz)
     =1−1+xz+y−xyz
     =xz+y−xyz

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ここで、Aの稼働率とBの稼働率、どちらが大きいかを比べるには、
Aの稼働率−Bの稼働率をもとめて、0より大きいかどうかを調べればいい


Aの稼働率−Bの稼働率
  = (xz+yz−xyz)−(xz+y−xyz)
  =xz+yz−xyz−xz−y+xyz
  =yz−y
  =y(z−1)

ここで、yは>0、正の数、
    zは1より小さい。これから1を引けば、負の数になる。
    つまりy(z−1)=正の数・負の数=負の数(マイナス)
    マイナスは0より小さい

  <0

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まとめると、

Aの稼働率−Bの稼働率 < 0

  →

Aの稼働率<Bの稼働率

つねに、Bの稼働率が高いということ



【答え】

(エ)

【解き終わって】

数式さえ立ってしまえば、あとは計算するだけの問題でした。